日経新聞がすっぱ抜いたSBIのSORとHFT先回りはインチキだったのか

日経新聞がすっぱ抜いたSBIのSORとHFT先回りはインチキだったのか

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日経新聞がすっぱ抜いたSBIのSORとHFT先回りはインチキだったのか

 

先日、とある記事が日経新聞ですっぱ抜かれた。

覗かれる株注文データ 高速取引、個人に先回り 編集委員 川崎健

手数料ゼロが招く歪み 証券会社と高速取引業者の蜜月 編集委員 川崎健

実にSEO映えするショッキングなタイトルと内容である。さすが日本随一の経済紙、日経新聞の記者である。映える文字の並びがよく考えられている。個人を煽り、不正を匂わせている。

 

このSBIが不正な取引を助長しているという記事に対してSBI側も反応した。

本日の一部報道について

さらにSBIの社長である北尾吉孝氏もブログで反応した。

北尾吉孝氏のブログ『SBI証券で貫かれる顧客中心主義』

当然だが、SBI側は不正は一切ないと反論。だが個人投資家が信用したのは日経新聞の記事の内容だった。普段の行いはピンチの時、表に現れてくる。

株式市場は素直に反応。週のはじまりに記事が公開されてからSBI株は下降を始め、金曜日までに7%株価を下げている

 

すっぱ抜いた日経記者である川崎健氏もニッコリの反応である。ピュアな投資おじさんは日経に載る記事をピュアに信じる習性がある。

今回はピュアなおじさんのためにピュアなまとめをしていく。

基本用語SOR、PTS、TIF、HFTって何?

SOR(Smart order routing)…複数市場から最良価格の市場を選択する形態の注文。注文が市場に届くまでに時間がかかるため、市場に届いた時点で気配値が異なる場合があり、最良の約定とならない可能性がある。
PTS(Proprietary Trading System)…各証券会社が独自に開設している私設取引所。東証の取引時間外にも売買が行える。
TIF(Time In Force)…SBIが導入している時間指定注文の事。あらかじめ取引参加証券会社等が指定する時間のみ有効とする指値注文。設定した時間が経過した場合、かつその時点で未約定となっている注文はキャンセルされる。指定した時間分、市場の「板情報」に注文が表示される。当然その分約定率が高くなる。SBIは従来、IOC(Immediate Or Cancel)注文をSORする際の仕様としていたが、10月にTIFへ仕様変更した。IOCは注文発注時のみ有効とする指値注文のこと。注文時点で約定成立可能な数量のみ執行し、未約定となった注文についてはキャンセルされる。市場の「板情報」に注文が表示されない。
HFT(High Frequency Trading)…「超高速取引」「高頻度取引」「高速高頻度取引」「アルゴリズム高速取引」など色々な呼び方がある。アルゴリズムを利用する事で人間の認知スピードを超えた速度での取引を行い利益を上げる取引のこと。マイケルルイスの書いた『フラッシュ・ボーイズ』が有名で、ここでは設備に莫大な投資をすることで優位な立場から取引を行いフロントランニングに近い状況が合法的に生まれているという問題が取り上げられた。ちなみに賛成派は流動性を叫び、反対派は公平性を叫ぶというポジトーク満載の技術である。
ダークプール…証券会社のシステム内部で投資家の売買注文をぶつけ合い、注文を東証の立会外取引システム(ToSTNeT)に取次ぎ、約定させること。ダークプールにおける気配情報、価格情報等は非公開で、気配情報についてはシステム内部での付け合わせ処理においてのみ利用。取引所を通していないので、売買が成立するまで気配や注文数を公表する義務がない。

 

 

ヒーラギ博士
ヒーラギ博士

はかせ 英語よくわからないよ… (。•́︿ •̀。)

日経新聞の主張「SBIは不正をしている」

日経新聞の記事によると「北日本地区に住む30代の男性投資家」が注文に割り込まれる感覚があったという。また「宮崎県に住む40代の男性投資家」も割り込まれた経験があるという。この両者はSBI証券を利用しており「体感では、約3分の1の注文が誰かに先回りされて」いるという。

  • 匿名の情報である。

日経新聞の記事によると、SBI証券の「TIF(タイム・イン・フォース)」と呼ぶ注文執行の方法により投資家の注文が板情報に公開される。複数の市場関係者の話を総合すると0.1~0.3秒の範囲の中のどこかに設定していたとみられる。

  • 複数の市場関係者による某筋の情報である。

日経新聞の記事によると、ジャパンネクストは第2市場で取引できるHFT業者の具体名を公表していないが、市場関係者の間では米バーチュ・ファイナンシャル、米シタデル・セキュリティーズ、米HRT、イスラエルのイストラ(ISTRA)などの名前が取り沙汰されている。

  • 公開されていない情報である。

日経新聞によると「自分たちは市場に流動性を供給するというプライドを持って取引しているが、個人投資家のオーダーを見ることで簡単にもうけられる仕組みになっているのはどうかと思う」。第2市場の参加者の1社とみられるHFT業者の幹部は最近、周囲にこう漏らしている。

  • 公開されていない第2市場の会社幹部から漏らされた謎の呟きである。

日経新聞によると、SBIホールディングス傘下のジャパンネクストは取引に参加するマーケットメーカー(HFT業者)から取引手数料を受け取り、その一部を接続するネット証券にリベートとして渡す仕組みを来年春にも導入する方向だ。

  • SBIグループはこの方法で仕組みを導入する気はない。

日経新聞によると、SBI証券のSOR(スマート・オーダー・ルーティング)発注の新たな仕組みを活用した注文の先回りという今回の事象が発生した可能性がある。割を食うのは、まるで竹やりでレーザー砲と戦うことを強いられている個人投資家だ。

  • 注文の先回りは発生した可能性がある。なぜか個人投資家は竹やりしか持っていない事になっている。

SBI証券で起きたHFT業者による注文の先回りは、金融庁を含めた市場関係者に多くの課題を投げかけている。

  • 「可能性」ではなく注文の先回りが発生したと断定、断定できる材料は結局記事には公開されていない。

 

日経新聞主張まとめ

  • SBIはTIFの設定時間をわざと遅らせてHFT業者に収益の機会を与えている!
  • HFT業者にはSBIの大株主である米バーチュ・ファイナンシャルがいる(利益相反行為のミスリードを誘いそうな一文、ぶっちゃけこの一文があるせいで記事の信用が薄くなっている)
  • SBIが手数料無償化を進めるための原資はHFT業者に個人の注文を流すことで受け取る収入だ!

当ブログが不思議に感じた点

  • 文章表現を前後で変えることでイメージ操作⇒信用減
  • 匿名筋の情報しかない。
  • 某筋の情報しかない。
  • 記者の想像しかない。
  • 個人投資家の感情をわざと逆なでする表現が多い。
  • 個人投資家は竹やりしか持っていない。

 

SBIの主張「不正は一切していない」

SBIによると、東京証券取引所に回送されるSOR注文を先回りして同取引所で約定できる可能性が報道されましたが、2019年11月18日現在において、TIFの設定時間は0ミリ秒となっております。

  • 設定時間ゼロミリ秒となっている。この表現だとずっと見ることが出来なかった状態だ。

SBIによると、報道においては、「TIF(タイム・イン・フォース)」の設定時間が「100ミリ~300ミリ秒」との記載がありましたが、2019年11月18日から「0ミリ秒」としております。

  • 設定時間は11月18日からゼロミリ秒となっている。この表現だと前日までは見ることが出来た状態だ。

 

北尾吉孝社長によると

PTSの注文は、SBI証券の顧客の注文であるかも含めて、誰の注文か分からない。

PTSの注文が、SBI証券の個人投資家の注文であったとしても、当然、それがPTSで約定し、東証に全く回送されない場合がある。東証に回送される場合であっても、「成行」であるのか、「指値」であるのか、指値の場合に「いくら」であるのか、また、PTSで一部約定する場合もあるため「何株」であるのか、分からない。

PTSの注文は、当然、全市場参加者が見られる情報であり、HFT業者も含めた多数の市場参加者が存在するため、ある一つのHFT業者が先回りしようとしても、個人投資家も含めた他の市場参加者がPTSの注文を取りに来る場合も容易に想定される。

そもそもSBI証券の個人投資家は、発注毎に「SOR」、「東証」、「PTS」から選択することができるが、「SOR」ではなく「PTS」を選択して発注している場合は回送されない。こうした顧客の選択については、HFT業者も含めてどの投資家も板情報から判定することはできない。

 

  • TIFの設定を変えた理由には言及せず、そもそもHFTを行うことは確定情報がないので不可能と述べている。そしてこの主張はそもそも顧客からの注文情報を先回りできる可能性があったか否かには答えていない。

 

SBI主張まとめ

  • 特定業者に便宜を与えていない
  • そもそも注文を仕分けて先回りなんて無理
  • 11月18日現在はゼロミリ秒
  • 11月18日からゼロミリ秒
  • 顧客中心のサービスを提供している

 

当ブログが不思議に感じた点

  • 文章表現を前後で変えることでイメージ操作⇒信用減
  • なんで設定変えた理由に言及しないのか?
  • てかゼロミリの仕様ってTIFじゃなくてIOCに戻したってこと?
  • 説明しないのに顧客中心主義なの?
  • PTSの信用取引解禁後の設定あたりから板食われてる報告あるけどそもそもの設定はゼロミリ秒なの?
  • もしこれでPTSの成約率が下がってたら事実だったって事でいいの?

 

日経新聞もSBIも明白な答え出さない問題

 

 

両者とも一番大切な部分には言及していないのが一番の問題だ。マスコミも証券会社も透明性を高めるには匿名情報など以ての外だし、文章のレトリックで印象操作など言語道断である。

 

日経新聞の側ではミスリーディングしようとしている表現が多い。先に上げた「個人投資家は竹やりしか持っていない」の表現(個人投資家を馬鹿にしてる)。そして第一市場の他に第2市場が「存在する」という表現(実際には市場は3つあるけど全く言及されていない)。個人の感情を逆なでし煽るような表現が意図的に使用されている。これではピュアな株おじさんが騙されてしまうではないか。言語道断である。

マスコミのデスクは、残念ながら記事をショッキングな結論ありきの内容にしようとする雰囲気がある。結局、今回の記事も情報源が不明な憶測ばかりとなっているが、結論の語調だけは強い。また「業者との蜜月」という表現はいかにも、取引業者と癒着し顧客のデータを直接業者へ提供しているかのようだ。記事の根拠は全て謎の第三者の意見であり、客観的証拠については一切言及されていない。いくらピュアな株おじさんなら騙せると言っても客観的証拠は見せるべきだ。

 

これに対するSBI側の対応も全くもって良くない。10月に変更したばかりの注文方式を報道の日を境に元に戻すという悪手。報道が真実、もしくは一部真実であると言う事を裏付けるかのような対応である。さらには仕様を変更した理由については一切言及していない。北尾吉孝氏のブログにも仕様変更の理由には言及はなく、HFTの技術的な面の反論だけがされている。これではピュアな株おじさんには理解できない。スパッと「やってません!」と言わないと株おじさんは株を売ってしまう。

第三者の視点から見ると結局、真偽は不明だ。しかしICOからTIFへの注文方式変更IFは10月から始まったばかりである。たった一か月で裏を取ることは現実的に可能であろうか…。日経新聞へ何かしらのリークがあったであろうことは容易に想像がつく。そしてこのリークはSBIと利害関係、もしくは仕様変更により損を被る者によってされたのであろう。また報道された結果、仕様が元に戻った事から見ると、このリークには一定の真実があった事も見えてくる。それくらいピュアな株おじさんにだってわかる。

 

・・・

仮にこれらの報道が全て真実であって、顧客からの注文情報を元に先回りできる余地があったのであればSBIはそれを取引ルールの説明に組み込むべきであろう。直接的なデータの提供は明らかな違反だが、間接的なデータの取得であればただの金融マーケットの競争の1つでしかない。そういった証券会社を使う者がいるかどうかはまた別の問題となる。

そもそもこの論調だとPTSはダメだけど、より透明性が低いはずのダークプールはオーケーのような論理になってしまう(ちなみに安全だと言っている他の会社はダークプールに注文をぶつけている。金融庁はダークプールの規制を検討している最中だ。)

SORが導入されて以降、成約率が高くなったのは事実だ(それが流動性とイコールとは言えないが)。だがそれに伴い問題も多く発生する。HFTの主流であるレイテンシー・アービトラージや先回りのリスクが代表的だ。

取引所はこういった、デメリットをしっかりと示した上で、投資家側に「それでもうちの取引所を使いますか?」と選択肢を与え、同時にSORを利用すれば手数料への還元や(最適な)成約率の向上が実現するというメリットもしっかり説明するべきである。

多くの場合、小口の投資家にとってはSORはメリットの方が大きいはずである。だがなんにせよまずはSORの設定を自由に変えられるようにするべきだ。ピュアな株おじさんにわかりやすいようボタン1つで切り替えできるようにね。

 

今回の報道の後、証券会社各社は自社の健全性をアピールし始めた。そもそもTIFがゼロミリ秒でもHFTは利益を上げる方法があるのだが、SORを導入している各社は「ウチは安全です」と言い張っている。各社ともそういったリスクへの説明をせず安全宣言しているのは疑問が残る。TIFの問題は日経新聞で取り上げたような単純な図式で終わるような単純な問題では無いのだ。

 

今回の一件が真実だとすると最も被害を被るのは、「0.1秒を争うスキャルピングのプロ」「大口成行注文者」「Botter」であるがツイッターの反応を見るとこういった投資家がかなり多く、当サイトは驚いている。ついに鍛え上げられた日本の投資界隈が世界の市場を荒らす時代が来たのだ・・・!

当サイトは注文で0.1秒を競う全ての鍛え上げられた個人投資家を応援している。

投資クラスタの反応「被害を受けた投資家」編

※8月PTSの信用取引、10月IOCからTIFへ仕様変更。

 

 

投資クラスタの反応「仕組みについての意見」編

 

 

各証券会社の反応

 

 

その他投資クラスタの反応

 

 

 

 

 

 

ヒーラギ博士
ヒーラギ博士

はかせ 難しくて 結局よくわからなかったよ… ( ´^`° )

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