【悲報】政治家への仮想通貨 による個人献金が「規制対象外」のデマが広がってしまう【※正しくは規制対象】

政治家への仮想通貨による個人献金が「規制対象外」のデマが広がってしまう【※正しくは規制対象】

スポンサーリンク

【悲報】政治家への仮想通貨による個人献金が「規制対象外」のデマが広がってしまう

仮想通貨は「通貨」という名称が災いし、いわゆる硬貨や紙幣、電子マネーのようなイメージを持たれることが多い。最近では仮想通貨は「暗号資産」へと呼称を変えてはいるが、このイメージは一般的には変わっていないように思われる。

そして最近、これが原因となるデマが広がってしまう事態となった。きっかけは読売新聞の記事だ。

デマが拡散されていったきっかけはこちらのツイート。

 

 

この時点では情報ソースが公開されていなかった。そのため、内容の真偽を調べることが出来ず新聞記事の報道内容ばかりが拡散されることになる。読売新聞から始まり、毎日新聞、共同通信、仮想通貨系メディアなど各報道社がデマ記事を載せていった。いわゆる飛ばし記事である。

 

 

だがその後、高市総務大臣による「政治資金規正法における暗号資産の扱い」の会見発言と、参議院臨時国会における質問答弁書から、この記事が全くのミスリーディングのデマ記事だという事が判明した。

 

 

現行法上では「暗号資産」を政治資金規制法上の「金銭等」として定義づけることは出来ない。つまり硬貨や紙幣と同様の扱いをすることは出来ないと言う事を言っただけである。

なお、「暗号資産」の取り扱いが金銭等にあたるのかどうかは現在、世界中の行政機関が対応に苦慮している点である。例えば暗号資産について日本よりも先へ行っているであろうアメリカのSECでさえ、暗号資産が「証券(=金銭等)」なのか否かについて議論を行っている最中だ。

安易に「暗号資産」全般を「金銭等」として定義づけてしまうと、影響を及ぼす範囲は政治資金規正法にとどまらなくなってしまう。総務省はごく当然の現行法上の回答をしただけなのだが、マスコミの手にかかれば真実に何重ものフィルターがかかっていく。

 

では細かく見ていこう。

政治資金規正法上の寄付の制限について

ややこしいことを理解するのは面倒くさいが、政治資金規正法について知ることが一番重要である。

総務省の「なるほど!政治資金 政治資金の規正」には一度目を通すと面白い。ちなみに政治資金規正法は昔からザル法だと言われている穴だらけのクソ法律であり、これもまたミスリードのイメージ戦略に使われたと思われる。

ザル法とは…抜け穴が多い法律をさす俗語である。水がざるを通り抜ける様子から名付けられたものとされる。身近な例では道路交通法(スピード違反が常態化)や賭博罪(マージャン屋やパチンコ屋では賭けが常態化)などがある。

 

 

いくら政治資金規正法がザル法とはいえ、形式だけでも整えることは大切である。

維持資金規正法は「個人間の寄付」「団体間の寄付」に大別される。規制の枠組みは上記の表のとおりであり、ほとんどが規制の対象だ。

赤丸を付けた部分が今回、話題になっている部分だ。今回の総務省見解によると「仮想通貨は金銭等ではない」としている。つまり必然的に「その他」に区分され、年間150万円の制限がかかるわけだ。

より具体的に読んでいこう。

高市総務大臣による会見要旨

 

問:~略~1つは、政治資金規正法で禁じられている政治家個人への寄附で暗号資産が対象外になっているとの報道がありました。ルール作りが必要ではないかという声もありますが、大臣のご所感をお願いします。~略~
答:1問目でございます。政治資金規正法上、一定の例外を除き、何人も、公職の候補者の政治活動に関して、金銭等による寄附をしてはならないとされております。この法律による「金銭等」というのは、金銭及び有価証券をいうと規定されています。
お尋ねの「暗号資産」については、今申し上げた「金銭」及び「有価証券」のいずれにも該当しないことから、従前から、公職の候補者の政治活動に関する金銭等による寄附の制限の対象とならないものと解されております。
現行法令で、「金銭等」として、金銭と同様の機能及び形態を有するものとの観点から、有価証券が定められております。「暗号資産」を「金銭等」と同様に規制の対象とするためには、当然、法的な手当が必要となりますけれども、新たに政治家の政治活動に制限を加えることになりますので、閣法というよりは、各党各会派で、まずご議論いただくべき問題だと考えております。~略~

 

「金銭等」の現行法上の位置づけはややこしいので省略。

「金銭」及び「有価証券」が政治資金規正法において「金銭等」として制限を受ける。これが総務省の見解だ

法律をよく知らないせっかちな一般人なら「暗号資産(=仮想通貨)が金銭等としての制限の対象にならない!?けしからん!!!制限しろや!!!」とこうなるのも分からんではない。

行政手続きは一般人に理解しづらいので金融系記者がミスリードしやすいのだ。

本当の答えは「金銭等」の扱いではなく「その他」の扱いで規制対象になるというごく自然の流れな回答なのだが…

なんと国会議員まで勘違いしてしまいました。臨時国会における質問主意書を見ていこう。

熊谷裕人議員による政治資金規正法上の暗号資産の取り扱いに関する質問主意書

 

先日の臨時国会で熊谷裕人議員からこの件について質問主意書が提出された。

質問主意書は答弁ではなく文書で答える仕組み。本会議や委員会において口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができるのでとっても便利。内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっている。

この制度を活用する国会議員が増えてきたため、選挙対策に追われる中央省庁の各部署は大忙しだ。中には「セクシー」の意味を質問してくる小学生のような議員までいるようだ。

いくら残業しても残業代は予算の範囲内、人材流出防止のための基本給が上がるとマスコミから徹底的に叩かれる国家公務員がこういった努力をしている事を知っとくといいかもしれない。

 

主意書の内容と回答はリンク先の通り。

長いので以下に要約する。

 

質問と回答の内容

Q1.暗号資産の寄附は、「金銭、物品その他の財産上の利益」のうちの「金銭」を寄附することに該当しないでオーケー?

A1.「金銭」及び「物品」以外の「財産上の利益」を寄附することに該当するよ。

Q2.暗号資産の寄附は、「金銭、物品その他の財産上の利益」のうちの「物品」を寄附することに該当するん?それとも「その他の財産上の利益の供与又は交付」になるの?

A2.「金銭」及び「物品」以外の「財産上の利益」を寄附することに該当するよ。

Q3.総務大臣は単純に消去法で「金銭等」じゃないっていってるだけじゃないの?

A3.消去法的に「金銭等」ではないと位置づけているのではないかの意味するところが明らかではないけど何言ってんだお前?

規制上だと政治活動に関して「金銭等」による寄附をしてはならないことになってる。「金銭等」とは「金銭か有価証券」の事だし「金銭」は法定通貨のことをいう。「有価証券」は財産権を表示する証券のこと。ほら、だから暗号資産は、「金銭等」には該当しないでしょ。現行法の解釈上明らかだろ。

Q4.高市総務大臣が言うようにすると、暗号資産を使って簡単に財産わたせちゃうんじゃないの?「暗号資産による寄附は公職の候補者の政治活動に関する金銭等による寄附の制限の対象とならない」って明言するってヤバくね?

A4.いやいや規制はされてるよ。暗号資産による寄附を含め、国内からは上限があるし、外国人からの寄附はそもそも禁止されてるし、その他もろもろ規制されてるよ。そりゃ暗号資産は「金銭等」じゃないけど、そもそも金銭じゃなくても財産上の利益の寄付はだめだよ。あ、ハッキリ言葉にしないとわからないかな?じゃあもう一回言うよ、財産上の利益の「寄付」も同じように規制対象だよ。

ついでに言っとくと、君がヤバイって言ってる暗号資産による寄附を「金銭等による寄附」と同じ意味合いで禁止するためには別で法令上の措置が必要となるね。これって暗号資産の問題だけじゃなくて公職の候補者の政治活動を制限することとなるとか政治活動の自由と密接に関連する事だからさ、各党各会派において議論しないとだめだよ。てか勝手に政府が決めたらそれこそやばいっしょ?

 

結論:暗号資産(仮想通貨)は政治資金規正法の規制対象です

 

結論:暗号資産(仮想通貨)は政治資金規正法の規制対象です。

 

当ブログはこの答弁が出たことで各社が訂正記事を出してくるのかなと思ってウォッチしてたが、正しく書かれていたのはたったの1つだけ(インプレスの仮想通貨Watchの記事)だった。

 

 

間違って記事にした報道やミスリード記事はざっと拾って以下の通り。

Coinpost「仮想通貨で政治家個人への献金、総務省の「合法判断」はなぜ?

Fxcoin「仮想通貨による政治献金を考える」(※記者ですらなく大学生の書いた記事)

Cointelegraph「政治資金規正法の「修正すべき重大なバグ」 仮想通貨献金「合法」判断に改正必要との声【独自記事】

毎日新聞「政治家個人への献金「仮想通貨は規制対象外」 政府答弁書

日本経済新聞「暗号資産の政治家への寄付、現行法では規制対象外 総務相

読売新聞「暗号資産、個人への献金「合法」…透明性確保へ法整備も

共同通信「暗号資産は禁止対象外と総務相 政治家個人への寄付で」(※総務大臣の顔写真を画面いっぱい犯罪者の証明写真のように掲載する点で特に悪質)

ロイターは記事消し

 

もちろん「仮想通貨で政治献金し放題!」の方がキャッチーでよりたくさんの人の感情に訴えかけることが出来るのは確かである。実際に今回も「政治家への献金だけが対象外だと!けしからん!」の感情が爆発して拡散された。

それっぽく言うと、多くの人たちがプロパガンダモデルにおける「集中砲火」にさらされたわけだ。結果として正しい報道はわずか1つとなり、残りの99%のデマ記事で嘘が脳みそに刷り込まれる結果となった。

 

ポストトゥルースの政治とは政策の詳細や客観的な事実より個人的信条や感情へのアピールが重視され、世論が形成される政治文化である。現代ではネットで調べ事をすることがごく自然な事として行われるため、上位の検索結果ばかりが表示され、SEO対策がされているニュースサイトの意見が広く拡散される。多くの場合、外部ライターに依頼し低品質な記事が安価に乱造されることが多い。

 

トレードの世界で生きる個人投資家にとって今回の件はとても参考になるファンダ情報の流し方であった。正しいファンダ情報に触れるにはなるべく一次情報に近い位置のデータを見る必要がある。恐らくマスコミ各社は自分が間違った報道をしたことにすら気付いていない。

個人に出来る対策として、例えば今回であれば「政治資金規正法」についてあらかじめ知っていたり、あるいは総務省のホームページを見ていればデマに踊らされることはなかった。常に勉強や調査をしたり、その都度新しい知識を増やすことも重要である。

 

今回のポイント以下の2つ。

  • 政治資金規正法はザル法である。
  • 暗号資産の献金は「その他」に分類されて政治資金規正法の規制対象
  • ザル法批判に「仮想通貨」というキーワードをわざと加える印象操作に注意

ミスリードできなかった人たちの反応

 

 

 

 

 

 

 

 

ミスリードできた人たちの反応

 

 

 

 

 

コメント